首都カトマンズ

2008年10月12日

あまりにもゆれる夜行バスの中、何とか20分ほど寝ることが出来たがそれ以上は寝ることは出来なかった・・・

朝4時くらい・・・
バスの中で横にいたオッサンに聞いてみた、『カトマンズはまだですか?』
『何? カトマンズ?? それならさっき過ぎたぜ』

え? そんな・・・ じゃあ俺にどうしろと?
と言う疑問と同時に叫ぶ。

『ア、ア、アイ・ゲット・オフッ!!』 と。 (I get off)

一応通じたみたいでバスは急停車した、急いで荷物を持ってバスから降りる。
『はぁ、何とかなったな・・・』
ところでここはカトマンズのどの辺りだろう?? 
辺りはまだ真っ暗で人通りも少なかった。 でもチャイ売りの露店が一軒出ていたのでとりあえずチャイを一杯。
それにしてもまだ10月だと言うのに・・・ 寒い。
カトマンズ盆地は標高1300mの場所にあると聞いていたが思った以上に寒いな。



徐々に夜が明けてきた。
さて、とりあえず町に向かうか。
でも実は所持金が200ルピーしかない、うーんどうしよう・・・ コレじゃあタクシーは使えない。
と思っているとタクシーの運転手が声をかけてきた、

『どこに行くの?』
『とりあえずタメル地区へ行く予定です』
『それじゃあ俺のタクシーに乗りな!』
『でも今200ルピーしか持ってないんです、バスとかないんですか?』
『200って・・・ じゃぁ駄目だ、バスは無いから歩くしかないな、この道をまっすぐ行きな』

運転手は失笑して去っていった。
はぁ・・・ 日本人なのに所持金200ルピーってどうなんだか。 200ルピーは約300円

  カトマンズの路地裏

どうやら現在地の名前は「カランキ」と言うようでひたすら北西に向かって歩けばいいらしい。
ま、しかたないのでひたすら歩いた。
途中で軍の人に道を聞いたりしたが、彼らは決まってこう言う
『何? タメル地区に行く? じゃあタクシー拾ってやるからそれで行け』
そのたびに、
『あ、いや、今200ルピーしかないんだ』
と言った、 言うたびにみんな失笑するもんだから結構悲しい気持ちになった。
私はそんなにお金に執着する人間ではないがこのときはやっぱり最低限のお金はいるなぁと思った。

まぁそんな事は気にしてられない、早く町に行って銀行を探さなきゃいけない。
歩くこと30分。
この近くにモンキーテンプルと言う有名なお寺があるから見て行きな!
と道を聞いたオッサンに言われた。
ほほう、モンキーテンプルとな? それは是非みてみたいのぅ。
と思い少し寄り道することにした。

お寺は山の上に建っていて遠くからでもよく見えた。
なかなか立派な造形だ。 確かガイドブックにも載っていた気がする。

   山の上に寺が建っている


さて、寺を目指して歩いて行くわけだが意外に道が複雑でたどり着けない。
でもとにかく山の方へ行ってみた。

うぅ・・・ 意外にきつい急斜面の道、それに階段もたくさん。
お腹もすいた。 
朝早くにチャイを飲んだだけだったし。
 そういえば昨日買ったクッキーがカバンの中にあったな。
と思い出してカバンを開けようとしたが近くにたくさんの猿がいることに気が付いた。
そう、猿の前で食べ物を食べるのは危険。 とガイドブックに書いてあった・・・
うぅん、大丈夫な気もするけど猿に襲われて大怪我をした人を私は知っている。
よし、何か食べるのは寺を出てからにしよう。
それにしても猿だらけだ、モンキーテンプルの名前はダテじゃないな。

       


とにかく山を登りきった、 登りきった時にはもう汗だくで息も荒くなっていた。
上着を脱いでカバンに入れているとお掃除のおじさんに声をかけられた。
彼は「ここは寺の裏側だからこっちのチケットカウンターでチケットを買いな」 と言っている。
え? ここ有料なのかよ。 そうか・・・ 足りるかな・・・ 200ルピーしかない。

入場料金は100ルピーだった。
よかった、何とかなったなうん。もうお金全然無いけど。

まぁとにかくお寺を見てしまおう、考えるのはその後だな。
寺に入るとたくさんの参拝客がいて大きなドーム状の塔の周りをまわっていた。
 おお凄い。
見たこと無い造形だ、ガイドブックでは見てたけど。

線香の煙と香り、大きな仏塔、キラキラした装飾、抜ける様な青い空。
初めて目にするものはどれも心躍りますね。

なぜか犬や猿や鳩もたくさんいて人間以上に動物の姿も目立った。
どうやらお供え物を狙っているようだ、と思ってみているとお坊さんがわざわざ犬や猿に餌をあげているようだ。
なるほど、餌やってるからたくさんいるわけだ。
人の方はというと、熱心にお祈りをする人もいればテキトーに済ませてしまう人もいる。
そしてなぜか腹筋したりスクワットしたり朝のトレーニングをしている人の姿も目立った。
朝、ランニングがてらにお祈りをして、ついでに筋トレ、顔なじみとおしゃべり、と言った使い方をしているようだ。
神聖な場であると同時に人々の社交場の役割もかねているのだ。


寺の正式な名前はスワヤンブナート
大きな円筒形の仏塔の上に四方を見渡すブッダの目が描かれている。(ブッダの智慧の目)

          


      


すぐ横に展望台があったので行って見た。
カトマンズの町が一望できた。
なるほど、さすが首都だな。 大きい・・・
その場で10分ほど休憩してもう一ど寺を回って山を降りる。
今度は裏口ではなく表の方に向かって。

かなりきつい下り階段。
これ落ちたら絶対助からないよな。
うん。 こけたら死ねる。
階段下りるだけで結構ドキドキだ。
裏口とは違いいろいろ土産物屋の店が出ていた。
いろいろと面白そうな物はあったけども買ってしまうと最後まで持ち歩かないといけないので買わない。

それにしても急な下り坂だ・・・ 死ねる・・・


     


寺を出るとまたまったく道が分からなくなった。
一応地図はあるのだが私のコンパスは壊れてしまっていて方向がよく分からない。
困ったなぁ。
まぁでもさすが首都と言うだけあって結構英語が通じるようだ。

何度か全然違う方向に進んだけどもとりあえずタメル地区へ入った。
とにかくお腹がすいた、でもお金が無いから銀行を探そう。
また何度か迷ったが無事に銀行を見つけた。 
よかった、とにかくお金が手に入った、でもさっきから食堂やレストランも探しながら歩いていたが全然開いてない。
時間は朝の8時過ぎだと言うのに朝食が食べれない。
昨日はバスの時間の兼ね合いで早めに夕食を食べたからお腹がすいて死にそうだ。
いらいらしながら歩いてやっとの思いでベーカリーショップを見つけて入ってみた。
店は見るからに高そうな外観だったがもう我慢できなかった。
「トーストセット 140ルピー。」
高けー!! でもたまにはいいか。

店内を見渡すとヨーロッパ人が何人か静かにコーヒーとトーストを食しながら新聞を読んだり小説を読んだりしていた。
何だか観光客を見てホッとした。 凄く久々に観光客を見たからだろう。
今までホントに全然観光客なんていないところを移動していたからなぁ。 それにしてもヨーロッパ人が多い。

店のトイレで手を洗おうと思いトイレに行って見た。
男性用トイレの前で何か物音がした。

 「ドカッ・・ ジュワ〜」

最初は誰かが入っていてトイレの水を流す音だろうと思っていたが入り口のドアの下の隙間から茶色い水が出てきた。
凄い勢いで。
中で何かが壊れて水が止まらなくなっているらしい。
この茶色い水は泥汚れなのかそれともトイレに溜まっていたアレなのか考えるのが怖かった。
すぐ後ろの女性用トイレは扉が開いていて手を伸ばせば洗面台に届きそうな狭い作りになっていたので手を伸ばして蛇口をひねってみた。

 「キュッ ビシャ〜」

茶色い水が勢いよく飛び出す。

『うぅ〜ん・・・ で、俺にどうしろと言うんだ?』
『俺が何か悪い事したか? 手が洗いたいだけなんだ』

まぁとにかくもうこのトイレは放っておいて別のトイレを探そう。
階段を登り3階に行ってみるとトイレがあったのでそこで蛇口をひねってみた。

 『あるじゃね〜か綺麗な水がよぉ〜』

まぁとにかく手を洗えた。
店のテーブルに戻ってガイドブックを読んで食事を待つ。

運ばれてきたトーストセットは意外に美味しくってお腹も満足した。
ハチミツを頼んだのになぜかバターが出てきたのは疑問だったが別にそんなことでは怒らないですよ私はね。
さて、まだ時間は朝の9時前だ。 今日は長くなりそうだ・・・

  店は停電中で薄暗かった



まず宿の確保が最優先。
滞在する町に早めに着いたとしても重たい鞄を持ち歩いて行動するのはチョット辛い、だからまず宿をさがすのだ。
大きな町には必ず安宿街がある。 ましてやここは首都カトマンズ。 安くっていいホテルを見つけ出したいところである。
そしてカトマンズで安宿を探すなら必ず出てくる地名が今私がいるタメル地区だ。
今食事をしたベーカリーショップのすぐそばにもたくさんのホテルやゲストハウスがあったのでとりあえず片っ端から入って料金を聞いてまわろう。
しかしいろいろ見てまわったがどこも料金は割高で決め手に欠ける。
どうしたものか・・・ 
ホテルのおじさん曰く

『このタメル地区は今観光客がたくさんいてどこも割高だぜ』
『ダルバール広場付近の宿ならこの辺りより安いはずだしそっちに行ってみな』

だそうだ。
ならそのダルバール広場とやらに行ってやろうじゃないか、だいたいこのタメル地区ってのは観光客が多すぎて嫌だったんだよな、と負け惜しみをぶつくさ言いながら歩いた。
しかし本当に観光客だらけでちょっと嫌になる。
まぁこのカトマンズは周辺寺院を含めて丸ごと世界遺産のような場所だからな・・・

町にどんどん活気が満ち溢れてくる
狭い道の中に露店が並びたくさんの人が行き来する。
観光客相手の露店も多いが市民の生活が間近で見れてなかなか楽しめる。

     


キョロキョロしているともうダルバール広場に着いてしまった。
広場に出た瞬間寺が姿を現した。
おお、かっこいい! 日本には無いデザインの寺だ。
しかもなぜか煉瓦と木の複合素材で作られている。
うむ、なかなか興味深い・・・
しばらくホテルを探すのを忘れて見とれてしまった。

ダルバールとはネパール語で(宮廷)を意味する。

        


      


続く・・・・・


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